園芸用肥料について
- 種類が多すぎて使い方が分からない
- いつ肥料をあげたらいいか分からない
- オススメの肥料を教えて
といったことでお困りではないでしょうか?
実は園芸用の肥料って難しそうですが、要点を押さえればそれほど難しいものではありません。
なぜなら、植物の肥料というのは『肥料の3要素』について知っておけば、おおよその植物は育てることが可能だからです。
この記事では園芸販売歴14年の私が
- 肥料の種類
- 肥料をあげる時期
- オススメの肥料
について初心者の方にも分かりやすく、簡潔に解説していきます。
この記事を読むと肥料についての基本的なことが分かるのでお店での肥料選びに悩むことは少なくなるでしょう。
肥料について

まず、肥料について簡単に説明します。
なぜ植物には肥料が必要なのか?
自然界では
植物が土の中から養分を吸収 → 動物が植物を食べる → 動物のフンや死骸を微生物が分解 → その養分を植物が吸収する → …
というサイクルが出来上がってることで植物に養分が供給されます。
しかし、鉢やプランターの中、畑という小さな世界ではその自然のサイクルが十分に出来上がっていません。そのため『肥料』という形で補ってあげる必要があります。
また、花や野菜などの『園芸種』というのは人間によって、少しずつ改良されているため大きな実や花をつけるようになりました。しかし、改良されたことにより自然界よりも多量の養分が必要になってしまいました。
(ハーブなどの野生に近い『原種』は肥料を多くは必要としないことが多いです)
肥料の3要素とは?
植物に必要な肥料分のうち、その大部分をしめるものを総称して『肥料の3要素』(多量要素)
といいます。その『3要素』とは
- 窒素 (Nと表記される)
- リン酸 (Pと表記される)
- カリ (Kと表記される)
になります。(例として 8-8-8 というのは 窒素(N)-リン酸(P)-カリ(K)が 8-8-8 と均等に入っているということ)
それぞれの特徴は
- 窒素(N)→葉や茎の成長を促す 葉っぱや茎を育てたいときに使用
- リン酸(P)→花や実の成長を促す 花や実を育てたいときに使用
- カリ(K)→根の成長を促す 根っこを育てたいときに使用
以上です。大雑把にですが、これだけおさえておけば問題ないです。
※補足として『中量要素』と呼ばれる「カルシウム」「マグネシウム」があります。しかし、『肥料の3要素』ほどの重要性はありません。また、苦土石灰を使うことで補えますし、最近の肥料には『+カルシウムとマグネシウム』と書いてあるものもあり、それほど気にしなくても問題ないでしょう。
肥料の種類

次に肥料の種類について解説します。
肥料はその原料によって
- 有機質肥料
- 無機質肥料
に分けられます。
有機質肥料

有機質肥料というのは動植物由来の原料により作成された肥料を指します。油粕、鶏ふん、魚粉などが代表的な物になります。
その特徴としては、土の中の微生物に分解されることによって初めて植物に吸収される状態になります。そのため、効果が出るのに時間がかかりますが、その分、長期間効果が持続します。また。効果も緩やかなため『肥料やけ』を起こしにくいという特徴もあります。土の中の微生物を活発にするので土壌改良効果もありますよ。
難点としては、動植物由来のため臭いが気になるものもあります。
無機質肥料

無機質肥料というのは鉱石などを分解して作成された肥料を指します。「化成肥料」とも言われます。
その特徴としては、肥料効果が出るのが早いです。しかし、肥料持続期間は短くなりがちです。ただし、人工的に作っているためコーティングを施している商品もあり、長期間の肥料効果が持続するものもあります。
肥料分も『3大要素』以外の『中量要素』や『微量要素』を含んでいるものが多いです。
臭いも少ないのでベランダや室内でも使いやすいです。
種類も多様で
・3要素の一種類のみを含む『単肥』(窒素N→尿素、硫安)(リン酸P→過リン酸石灰、溶性リン肥)(カリK→硫酸カリ 塩化カリ)
・3要素のうち2種類以上を含む『普通化成』(NPKの合計が30以上なら高度化成)
・有機物を含む『配合肥料』(化成肥料の速効性と有機肥料の緩効性を併せ持つ)
などがあります。
肥料の効き方や形状 気温 施し方の違いについて

肥料効果が植物に届くまでの時間(速効性)は、利き方の性質、粒の大きさ、気温、施し方によって分けられます。
肥料の効き方(速効性)
肥料の効き方(速効性)については主に2つの種類があります。
緩効性肥料
緩効性肥料はゆっくりと長く効果が持続する肥料になります。主に有機質肥料が該当します。ゆっくりと長く聞くので『元肥』にも『追肥』にも使用できます。
速効性肥料
速効性肥料は効果が出るのが早いが長続きしないのが特徴です。主に化成肥料や液体肥料が該当します。効果が早いので『追肥』として使用します。
肥料の形状

肥料の形状でも効き方に違いが出てきます。
粒の大きさで効き方に違いがあります。粉末、小粒、中粒、大粒とサイズがあります。粒が大きいほど効果がゆっくりと現れ、長い期間持続します。
また、使用時の形状が「液体」である『液体肥料』もあります。液体肥料は、固形のものより効き方に速効性がありますが、効果も短期間になります。(効果が短期間なので肥料過多になりにくいです)
気温

気温も肥料の効き方の速さに関係があります。気温が高い方が効き方に速効性があり、効果も短期間になります。これは、微生物が気温が高いほど活発に活動し、肥料を分解するスピードが上がるからだと考えられます。
施し方

施し方によっても肥料の効き方に差が出ます。固形の肥料を施すときに土に混ぜたり、埋め込んだ方が効き方が早くなり、短期間の肥料効果になります。土の上に置く『置き肥』だと長期間、ゆっくりと肥料効果が持続します。
肥料をあげる時期

次に肥料をあげる時期について解説します。
元肥
『元肥』は植物を植えつけるときに使う最初の肥料になります。植物によりますが一般的には『肥料の3要素』がバランスよく含まれた緩効性肥料を使います。この肥料がベースの肥料になります。
追肥
生育が旺盛な植物や肥料分を多く必要とする植物、また今から花や実をつけだす植物には必要に応じて『追肥』をしてあげます。元肥で足りなくなった分を追肥で補ってあげましょう。早めに緩効性の肥料を土の上に置いてあげるか、必要な時期に速効性の肥料や液体肥料をあげると良いでしょう。
寒肥 芽出し肥
寒い時期や暑すぎる時期には植物は『休眠期』に入っているので基本的に肥料はいりません。あげ過ぎると肥料過多になるので注意しましょう。しかし、早春の2~3月上旬ころには植物の芽や根が出だすものが多いです。その新しい芽や根が伸びる時期に肥料が必要になります。
そのときに必要な肥料が『寒肥』『芽出し肥』になります。冬の間にゆっくり効いて土壌改良効果もある有機質肥料をあげるのがオススメ。ただし、すでに芽や根が出そうなのであれば速効性肥料になるでしょう。
お礼肥
多年草や花木、果樹などは、花や実をつけるのに多くの養分を使います。そのため、残った部分は栄養が足りず弱っている状態になります。そんな時期に養分を与えてあげるために施す肥料が『お礼肥』になります。
「キレイな花や美味しい実をつけてくれてありがとう!」といってあげる肥料なので『お礼肥』です。覚えやすいですね!!
オススメの肥料の選び方

ここまで、肥料について説明させていただきました。

で、けっきょく私の植物にはどの肥料を買えばいいの??
という方に、オススメの肥料を紹介させていただきます。
初心者の方、あまり多くの種類の植物を育てる予定のない方
育てる植物の『専用肥料』がオススメ (トマトならばトマト専用肥料)
これが一番オススメで間違いがありません。元肥も、追肥も専用肥料のみで問題ないです。なぜなら、植物ごとに最適な肥料分をメーカーが配合してくれているからです。少し値段が高い場合もありますが、専用肥料を使った方が元気に育ってくれるので、病気や害虫にも強くなり、収穫もいっぱい出来るようになるので、結果的に節約にもつながります。
- 花しか育てない方は『花用の肥料』
- 実を収穫する植物しか育てない方は『実物専用肥料』
- 葉っぱや茎を収穫する植物しか育てない方は『葉物、葉菜専用肥料』
- 根っこを収穫する植物しか育てない方は『根菜専用肥料』
というくくりで専用肥料を選ぶのも良いでしょう。『一発肥料』といって元肥としてあげるだけで追肥のいらない肥料もあります。
いろいろな種類の植物を育てる方
普通化成(配合)肥料(8-8-8)がオススメ
いろいろな植物に使いやすい3大要素が均等な肥料がオススメ。高度化成(14-14-14)などは肥料分が強すぎる場合有り。
元肥に使う場合には『緩効性』のあるものを使うと良い。コーティングしてあるもの (○ヶ月効果が持続などとパッケージに記載有り)配合肥料なら『速効性』と『持続性』の両立ができるのでオススメ。
動物が寄ってこない方が良い(ベランダ菜園など) 室内で植物を育てたい
化成肥料、液体肥料がオススメ
有機質の肥料だと臭いが気になる場合があります。動物による土の掘り返しなどもあります。観葉植物などを室内で育てる場合は持続性のある化成肥料、または、水やり時に液体肥料がオススメ。
無農薬(オーガニック)で育てたい 出来るだけ自然に近い形で育てたい
有機質肥料を選びましょう。
有機質の肥料は土の中の微生物を活発にし土壌改良効果も期待できます。畑など長期間同じ場所で植物を育てる場合にはオススメです。
まとめ

以上、肥料について解説させていただきました。
肥料はたくさんの種類があり難しそうですが
- 自分の育てる植物に必要な肥料分(窒素N リン酸P カリK の肥料の3要素)
- 肥料をあげるタイミング、時期
- 自分の育て方に合った種類の肥料を選ぶ
以上の3点さえ踏まえていれば問題ありません。
肥料分は植物にとって大変重要な要素です。しかし、肥料のあげ過ぎは根焼けや病気、害虫の原因にもなってしまうので注意が必要です。基本的には肥料分は控えめに与えてあげる方が良いでしょう。植物の元気がないからといって安易に肥料を与えてはいけません。日当たりや水切れ、水はけ、風通しを先に確認することが大事です。



コメント