- 園芸用の土って種類がいっぱいあってよくわからない!
- そもそも『良い土の条件』ってなに?
- アルカリ性?酸性?ってなんのこと?
- 私の植える植物に最適な土ってどれ?
こういったことで困っていませんか?
実は園芸用の土は種類や用語は多いですが、コツさえつかめばそれほどムズカシイものではありません。
なぜなら、土の条件を決めるものは大まかに分けると【3要素】しかないからです。
この【3要素】にだけ気をつけていればいいのです。
私は土を自分で作るときには大まかにこの【3要素】のことを考えて配合します。
この記事では、園芸販売歴14年の私がその経験を元に
- 園芸用の土の種類
- 良い土の条件【3要素】
を解説していきます。
この記事を読むと植物に必要な土の条件が分かるので
- 園芸店で、どの土を買ったらいいか
- 余った土の上手な使い方
が分かるようになります。
結論としては『専用土』を使うのがオススメです。
専用土というのはメーカーがその植物用に適正に配合したものなので、植物に適した環境を考えて作られているからです。
ぜひ、最後まで読んでいただき『素敵なガーデンライフ』を楽しみましょう。
良い土の条件

そもそも植物にとって『良い土』とはどういったものなのでしょうか?
植物にとって良い土の条件とは空気、水分、肥料分を適度に蓄えて、過剰な水分、肥料分は排出できることになります。
空気、水分、肥料分を適度に含み、余分なものは排出する土は『団粒構造』になっています。(様々な大きさの粒が積み重なることで多数の隙間ができる。その隙間に空気や水分、肥料分が溜まる)
以上のことを踏まえ、植物に適した土を作る際に注意することは
- 通気性、排水性
- 保水性、保肥性
- PH(ペーハー)
の3点になります。それぞれ解説していきます。
通気性、排水性

通気性、排水性が良い土とは、水を排水しやすく酸素を多く取り込める土のことです。
水の排水性が悪いと根腐れの原因になってしまいます。そして、酸素は根が呼吸するために必要不可欠です。
また、適度に空気を含むことで断熱材としての効果を発揮します。人間の家の二重窓のように冬の寒い時期には熱を逃がさないようにし、夏の暑い時期は外の熱を遮る効果があります。
保水性、保肥性

保水性、保肥性の良い土とは、水や肥料分の保持力が高い土のことです。
水分や肥料は植物が育つために必要不可欠です。
PH(ペーハー)

PH(ペーハー)とは土に含まれる水素イオンの指数でその濃度により酸性~中性~アルカリ性へと変化します。
PHは植物ごとに好みの値が違うのでその植物にあったPHに近づけてあげることが大切です。
雨が降ったりすることにより基本的に土は『酸性』に偏っていきます。そのため必要であれば、新しい土を混ぜたり、石灰を入れることで土のPHを『アルカリ性』側へ傾けてあげると良いです。
園芸用の土の種類

次に園芸用の土の種類を解説していきます。
園芸用の土には
- 培養土
- 基本用土
- 改良用土
があります。
培養土(専用土)

培養土というのは『花と野菜の培養土』や『ハーブの培養土』などのように『基本用土』や『改良用土』をその植物に適した割合で配合している土のことです。
『培養土』というのはメーカーがその植物用に適した配合で作った土のことなのです。なのでその植物用の『培養土』を買って育てるのが一番簡単です。

なら培養土を買って育てるだけでいいんじゃん! 簡単じゃん!
と思うかもしれませんが…
そうです。 それでいいんです!!
ほんとにそれが一番いいと思います。安すぎるものでなければ培養土を使えば何も問題ないです。
では、基本用土や改良用土はどういうときに使うのでしょうか?
それは、花や野菜といってもそれぞれ好みの土質は少しずつ違うので、詳しい方は自分で混ぜて土を作ることが出来ます。そのときに基本用土や改良用土を使用します。ただし、そのためには植物ごとの詳しい知識が必要になります。
また、『花と野菜用の土』を他の種類の『ハーブ』や『観葉植物』に使用する場合や、使用済みの土を再利用する際に基本用土や改良用土を混ぜる場合もあります。
それ以外にも、それぞれの家や畑によって日当たりや湿度などの環境が異なるため基本用土や改良用土を利用して土質を改良してあげる必要があります。
それでは、そんな『基本用土』や『改良用土』について解説していきます。
基本用土
基本用土は用土を作る際のベースとなる用土のことです。
黒土

通気性は無いが保水性、保肥性が高い PHは弱酸性
火山灰で出来た黒色の土。軽くふかふかの土。植物の3大栄養素のリン(P)を吸収してしまう性質を持つため実や花を大きくキレイに育てたい植物には向いていない。
赤玉土

通気性、保水性が高い優れもの PHは弱酸性
赤玉土はどんな植物にも使いやすく、筆者は土を作る際には赤玉土を必ず混ぜるようにしています。赤玉土は「関東ローム層」と言われる地層で取れる土のことです。肥料分を含まず清潔な土なので挿し木用の土としても使用できます。
粒の大きさがあります。大粒~小粒(極小)大きいほど排水性が良くなります。小粒~中粒くらいが使いやすくてオススメ。大きめの粒は『鉢底石』の代用としても使えますが、崩れやすく、崩れてしまうと水はけが悪くなってしまいます。
崩れにくい『硬質赤玉土』というのもあります。崩れると排水性が悪くなるため硬質の方が良いのですが焼きを入れているため値段も高くなります。
鹿沼土

通気性、保水性が高く使いやすい PHは酸性
鹿沼土も赤玉土と同じく通気性、保水性が高く使いやすいです。では、赤玉土との違いは何かというとPHが『酸性』だということです。
PHは中性~弱酸性を好む植物が多いため、赤玉土の方が万能ではあります。しかし、酸性を好む植物もあるので、そちらを育てる場合には鹿沼土がオススメになります。
荒木田土

保水性は高いが排水性は悪い PHは弱酸性
荒木田土(田土)は粘土質で保水性がある土です。重量も重たい土です。
水分を好み乾燥に弱い植物への使用に向いています。
ボラ土(日向土)

排水性はバツグン 保水性は無い PHは弱酸性
ボラ土(日向土)は排水性は高いが、保水性はあまりありません。水はけの悪い土を改良する場合などに使えます。ランなどを植える場合は単体でも使用できますが基本的には他の土と混ぜることが多いでしょう。
硬くて崩れにくく排水性が良いため『鉢底石』として使用できます。
ボラ土のボラというのは『役立たず』という意味があります。保水性、保肥性がないため土として単体での使用には『役立たず』だという意味でしょう。
桐生砂

通気性は良いが保水性は無い PHは中性
風化がすすんだ赤褐色の火山砂礫で鉄分を多く含んでいる。
東洋ランやオモトなどの用土に使用される。
川砂

通気性は良いが保水性は無い PHは中性
河川の下・中流域で採取されるよう砂状の用土。桐生砂より粒が小さく大きさも桐生砂ほどバラツキがない。多肉植物や観葉植物の用土に使用される。
山砂

通気性は保水性ともに中程度(川砂に比べ少し通気性が無く、少し保水性がある) PHは弱酸性
風化した花崗岩でできた粘土質な用土。真砂土ともいう。関西地方にての販売が多い。
富士砂

通気性が良く保水性もある程度ある PHは弱酸性
富士山付近で取れる火山砂礫。スコリヤともいう。鉄分が多く、重くて黒い。化粧砂としても使用される。
水苔

通気性、保水性ともに高い PHは弱酸性
湿地のコケを乾燥させたもの。肥料分は無く無菌。等級付けがある。水を含ませてランや観葉植物の植え込み用土として使用する。
改良用土
改良用土とは基本用土に混ぜて改良し培養土をつくるために使用する用土のことです。
腐葉土

排水性 保水性が良くあらゆる植物に使いやすい PHは弱酸性
腐葉土は最もポピュラーな改良用土で 赤玉土 7:腐葉土 3 の割合で作った培養土でかなりの植物に対応できます。広葉樹の落ち葉を長時間かけて発酵・腐熟させたもの。微量要素を含み、微生物を活性化してくれるので土質の改善につながる。カビやすいのが難点。
堆肥(牛糞)

排水性 保水性が良い PHは中性
家畜のフンに落ち葉や樹皮を混ぜて発酵させたもの。虫が湧きやすいので屋外での使用が良い。有機肥料と混同されがち。微量に窒素分などは含むが主に土壌改良剤として用いられる。
ピートモス

通気性、保水性が良い PHは酸性
ピートモスは酸性であるため酸性を好む植物(ブルーベリーなど)の改良用土として使用される。また、軽く、無菌なため室内で植物を植える場合や、ハンギングの土に使用される。挿し木、種まき用の土としても使用できる。
バーミキュライト

通気性、保水性が良い PHは中性
蛭石を高温で焼いて作る用土。バーミキュライトは軽く、通気性、保水性もあるため様々な植物の改良剤として優秀。軽くて無菌なので挿し木や種まきの土として使用できる。室内の植物やハンギングの土にも使われる。
パーライト

通気性は高い 保水性は中程度 PHは弱アルカリ性
真珠岩を粉砕、焼成したもの。非常に軽く通気性が高い。軽すぎて水に浮いてしまうというのが難点。
くん炭

通気性が高い 保水性は中程度 PHは弱アルカリ性
もみがらを燻製して炭にしたもの。軽くて通気性がある。粘土質の土壌の改良に使用する。アルカリ性が強いので酸度調整にも用いられる。
ケイ酸塩白土

通気性が高く保水性もある PHは弱酸性
珪藻土を高温焼成したもの。保肥力もあり根腐れ防止剤として使用される。マグネシウムや鉄、カルシウム、ナトリウムなどの有効性ミネラルを含んでいる。
ゼオライト

通気性があり保水性もある PHは弱酸性
火山岩が凝固した鉱物。保肥力が高いので根腐れ防止剤として使用されることが多い。沸石とも呼ばれる。
軽石(パミス)

通気性が高く保水性は低い PHは弱酸性
火山帯の多孔質の砂礫。人口のものは『パミス』という。通気性が高く軽いので『鉢底石』として使用される。ランの用土としても使われる。
まとめ

以上、園芸用の土の種類や使用方法について書かせていただきました。
植物にとっての『土』は人間の『家』にあたる大変重要な要素です。
基本的には植物を育て始める場合に選ぶ土は『専用土』をオススメします。
しかし、ガーデニングを続けているうちに、どうしても
- 余った土を利用したい
- 使用済みの土を再利用したい
- 植物に最も適した土を配合したい
- 育てる場所によって条件が違うので用土を改良したい
という問題が出てくると思います。そんなときには、ぜひ、この記事を何度も読んでいただき『用土の配合』にチャレンジしてみてください。
何度も失敗しながら経験することで自分なりの配合を見つけるのも家庭菜園の奥深さ、面白さだと思います。
ぜひ、みなさんも様々な『用土』を駆使して『園芸の沼』にハマってしまいましょう。



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